クランクアップ
今年の夏は、娘にとって忘れられない夏になった。
大好きな人に会いたくて、会いたくて受けた映画のオーディション。
一次、二次と合格の通知が来た時は信じられなかった。
カメラテストがある三次で、大好きな監督に会えるかもしれない事に
娘は興奮していた。
事前に渡された、セリフテストの台本よりも、
監督に伝えたい言葉をかいた手紙を、何度も何度も繰り返し頭に入れていた。
そして当日、夢にまでみた監督を目の前にした、娘の第一声は、
「私は女優になる気はありません」
だったそうだ。なんとも図々しいと、恐縮するばかりだ。
そんな娘を選んで下さった、監督も、かなりの
ギャンブラーではないか。。。
夏に始まった撮影も、娘の場面は、先日クランクアップを迎えた。
プロの俳優の方の中で、素人の娘がどうなっちゃうんだろうと、
少し心配だったけれど、共演者のプロの方々が、沢山の温かい言葉を
掛けてくださり、そんな心配は、無用だったようだ。
「傷つけ。どんどん傷つけ。最後に輝けばいい」
監督からいただい言葉だそうだ。
監督を好きになった事に、寸分の間違いもなかったようだ。
娘は、その言葉を糧に、ゆっくり歩んで行く事だろう。
彼女なりの輝きを見つけるために。
園子温監督。ありがとうございました。